ただ美しい残響を残そう

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 推し♡ファンサして

 ……といううちわがどうしても作れねぇ、と嘆きながら仕上げた最新作です。私は基本的に「自分のうちわが最高」だと思って振っています。そして推しのファンサは最高。

 

 

 あんさんぶるスターズ!オン・ステージ ~To the Shining Future~ 通称、あんステSTFのお話をします。

 今回まず新鮮だったのは『初日』の公演を見られた、という点でした。全23公演中、初日含む大阪5公演、残りは東京でぶっ続けて大千秋楽まで、というスケジューリングだったため関西在住のわたくしはドドドド初日と最終週末の公演を見るという、公演期間の両端をつまみ食いするような感じになった訳です。

 演技、変わりすぎでは!?

 日によって変わる演技の差異、みたいな話ではなくて大幅に演技プラン自体が変更されている箇所がかなり多くて驚きました。勿論良くなっていた点が多かったので、結果的には「進化した」という話で括れる範疇だとは思うのですが、それにしても吃驚した……。
 そう言えばJoKでも前楽と大楽にだけ荒牧さんが凛月の台詞をひとつ追加するという変更がありましたね。テニス部のシーンに追加されたなずなの台詞も同じような経緯だったりするのかしら。なにかの布石だといいな!なにかの布石だといいですね!!

 

 

 

「あなたは悪ではない。正義であるのに暴虐をふるい、他者の涙を、夢を、全て喰らい尽くしてしまう」

 ---という日々樹渉の台詞があります。この場面の安井くんの演技がめっちゃくちゃ良くなってて私一回そこでも死ぬほど泣いたのですけれど、とかくメインストーリーの英智さまはそれに尽きます。彼は悪役(ヒール)にはなりきれない。DDDの対決シーンでは、決勝を除いた全試合においてfineは常に上手側に配置されています。白いスポットライトを浴び「勝者!」という声を浴びてなお、英智さまが見せるのは温度のない表情。完璧でした。

 

 2.5に限らず原作があるものには全て言えることなのですが、我々観客の中には既に各キャラクターに対する思い入れがあり、ストーリーの上では語られない過去のエピソード、そしてそれぞれの解釈が発生しています。それは上手く作用すればブーストになり何倍にも作品の盛り上がりを助けるものです。
 同時に今回私が強く感じたのは、境界の曖昧さでした。役と役者を重ねて見ることの是非は私にはわかりません。しかし今作で私が最も感情を揺さぶられたのは、それが天祥院英智のものなのか、前山剛久という役者のものなのか、その判別がつかない境界線の上にあるような笑顔でした。

 それまでのつらいお芝居は終わり、ストーリーは大団円を迎える。夢ノ咲学院のステージだ、どれだけの夢を乗せても大丈夫!と謳うスバルの掛け声で、全員でのアンコールの幕が開きます。なおも俯いている桃李ちゃまに声をかけ、謝り、元気づけ、前髪を整えてあげる英智さまの表情はこれまで見たことがないほど優しい。はっぴーなシーンの筈なんですけど、ふぃ〜ねの客だけは色んな意味でずっと泣いていたんじゃないでしょうか。そうやって全体の展開とは別に、自分の視点で切り抜いた自分だけのストーリーを繋いでいけるから、生の観劇体験はサイコー(予想はしていたけれどライビュでそこがまったく抜かれていなかったことに傷ついた顔をしています)。

 それぞれのユニットが代わる代わるに『ONLY YOUR STARS』を歌うさまは、ああ原作にあった光景もきっとこんな感じなんだろうなあという思いが込み上げてきて、キラキラしたステージを見ながらようやく涙が引っこみました。そして、満を持してステージ中央に出てくるfine。英智さまはフロアを、観客を、眼前の光景を微笑みながら一望し、「ありがとうございました」と口を動かして、深々とお辞儀をします。
 刹那、私は混乱しました。それが英智さまなのか前山さんなのかわからなくなった。その表情が、仕草が、あんまりにも『心の底からあふれ出た』ものに見えて、お芝居だということが頭から完全に吹っ飛んでしまった。ただ目の前にいるひとが心からの気持ちを伝えたことだけはきっと間違いがないと、手にしていたものを全部放り出して、もはやマスカラを溶かすことしかできなかった。自分でも引くほど泣きました。

 大千秋楽あとの前山さんのブログを読むと、ご自身も「これが僕なのか英智なのかわからない」といったことを書かれていて、何となく納得しました。役に入り込む、というのとはちょっと違う。キャラと役者を混同している、というのとも何だか違う。ただこの妙な感覚は、このジャンルの良さのひとつなんじゃないかと少しだけ思いました。まだやっぱり、よくわからないままなんですけど。

 

 

 

 

 

 

 しかし結局根がアレなのでやっぱり客降りのファンサより曲中に頂くファンサのほうが「ファッ」ってなりますよね~! 大丈夫です、根がアレなので都合よく解釈するのは得意です! あれは私に対するファンサだと思ってるから~~~!! (シアター1010のセンターブロック9列10列目ぐらい、高田馬場AREAの二柵って感じでばんぎゃる的にまじサイコーでした)

 

 カメラには抜かれなかったであろう「ここがサイコーだよ前山院英智!」の演技の細かいお話はそれこそ3エントリ分ぐらいあるのですが、まあ楽しいのは多分私だけなので下書きに残して供養します。みなさまもそれぞれのあんステを噛みしめ、これからも元気にうちわとペンライトを振っていきましょう!ライブでも絶対に優勝してやるぜ!!

 

 

 

 

追記

本日は前山さんのお誕生日でした。ささやかながらお祝い申し上げます。素晴らしい天祥院英智を演じてくださったこと、本当に感謝してします。